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2004年 06月 24日
また武田徹著 『調べる、伝える、魅せる』 (中公新書 ラクレ 780円)より。
<文章について論じるときにしばしば引かれるのが『高校生のための文章読本』(筑摩書房)の中にこんな言葉がある。 創造的な文章は、既成の文章の観念や形式にとらわれない自由な発想からのみ生まれる。良い文章とは、 ①自分にしか書けないことを ②だれが読んでもわかるように書く という二つの条件をみたしたもののことだ。 加藤典洋は『言語表現法講義』(岩波書店)のなかでこれを「むすんで」「開いて」だと形容している。つまり自分にしか書けないことを書くために、既成の観念や形式にすくいとられることに抗いつつ、自分自身の問題意識を育み、自分の頭の中で論理を組み立ててゆく。これは孤独の中で行われる作業だ。つまり、「むすんで」。 しかし、書くという作業は個々人の内部に思考を沈殿させてゆくだけに終わらず、思考を多くの人に向けて「開いて」ゆくことでもある。この「むすんで」「開いて」の両方のベクトルを備えることが重要であり、順序としては「むすんで」から「開いて」でしかありえない。> 文章を書く上で、創造的な文章の条件を、このように端的に言い切ったものを読んだのも久しぶりです。この「むすんで」「開いて」という方法で文章を書いてゆけばいいのですが、方法と実践はズレがあります。そのズレをなくすために、それぞれが自分自身と格闘して、自己表現しつづけているのでしょう。上記引用はなるほどの文章です。 尚、引用の『高校生のための文章読本』の著者が書いてありません。著者は梅田卓夫さんです。
by h_osd
| 2004-06-24 00:06
| 文庫・新書
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