江國さんの本をはじめて読みました。彼女の文章に驚きました。読んでいて、とにかくうまいと思いました。これは天性でしょうか。
小池昌代さんの文章は詩的できちんとして、なにか強固なものを感じますが、江國さんの文章は柔らかく自然に流れるようなものを感じます。
いい文章を読むと、それだけで満ち足りで、それだけで、生きていることを実感できて、それだけでよかったと思えます。
江國さんの文章は絵本についてかかれたものですが、それを通して、江國さんが語られています。そこから江國さんの感性と生き方に触れることができます。
たとえば、
<マザーグースにこういう歌がある。
いきたいところに いけるなら
いまいるところには いないでしょう
今いるところを でられなきゃ
いきたいところは いけないの
座右の銘というか、私はこれを、戒め兼言い訳の万能薬にしている。かなりの特効薬である。
ここではないどこかにいきたいと、ずっと思っていた。「ここ」が嫌なのではない。「ここ」がどんな場所であれ、「ここでないどこか」は、常に私を惹きつけてやまないのだ。>p18-19
それから、もうひとつ、
<他人の暮らし『ファミリーポートレート』によせて>について追記しておきます。これは江國さんがニューヨークについて書いたものです。
私もニューヨークが好きで、NYについて書いての文章を読んできましたが、江國さんのこのエッセイはまさに、ん、そう、だ、なんといってもいい。この一文は一読ください。