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2005年 06月 10日
岩波書店の「読書のすすめ」第10集がでましたので、岩波ブックセンター信山社に行きもらって来ました。この小冊子は読書体験に基づくエッセイで、読書子にとってはこの上ないフリーブックになっています。
今回でもう10集。そのうち既に出た各集はまとめられて文庫になっています。第1から4集収録のものは岩波文庫別冊11『読書のすすめ』として、また第5から7集までは岩波文庫別冊15『読書のすすめ』として刊行しているそうです。 いつでしたか、バックナンバーをさがしましたが、それが見つからず、焦ったこともありました。しかしこうまとめられていますと、各々を購入し読むことができます。こういう律儀さは岩波書店だからでしょうか。 その第10集、鎌田慧さんの「大世間師・宮本常一を読む」というエッセイのなかの、宮本さんが凄いのです。 <というのも、いまのように道が発達してない、クルマなど通ることのない辺境の地にあまねく踏査し、「朝から夜半まで、ぶっとおしに、食事や便所のほかには動きもしないで話をき」き、「朝六時におきて、夜十二時、一時まで聞書をとったり、古文書をうつしたりしての旅」をつづけ、「六十余枚の紀行文くらいは一日で書き上げ、そばにいると「鬼気迫るものを感じる」ほどたっだ> p22 日本各地の話を聞書し、写文し、まとめる作業、それだけでも気の遠くなる膨大な作業です。宮本さんはそれを地道に行い、そのすべてが貴重な資料となっているわけです。まさに「鬼気迫る」くらいの真剣な取り組みだったのでしょう。凄さとはこういうことをいうのでしょう。 ※世間師・・・「若い時代に奔放な旅をした経験をもった者」(『忘れられた日本人』)
by h_osd
| 2005-06-10 22:21
| 文庫・新書
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