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2004年 12月 21日
『中国を昔の目で見るな』(邱永漢著、廣済堂)を読んでいましたら、上海の書店の話が書いてありました。
それは3年前、邱さんが上海の本屋「上海書城」を見に行った時のことです。日本でいえば、八重洲ブックセンターのような書店ですが、あまりに閑散としていたそうです。 ところが、3年後に行った見ますと、店内には多くの人、レジは列をつくり並んでいたそうです。特に語学関係には多くの人が集まり、そのレジは長蛇の列だったそうです。 そこで、邱さんが考えました。本は文化だけでなく、経済の発展の程度を示す尺度であると。 確かにそうですね。本はメディアとして古く長い歴史があります。いろいろな情報を、新しい方法を吸収するために、本という情報源は重要なウェートを占めていました。 中国はいま大きな変革の時期です。中国の人たちが貪欲な好奇心を持ち、豊かな暮らしをめざして、動き出しています。オリンピックなどの世界的行事もこれから続々と開催されます。勢いという点では中国が一番でしょう。 そうした中国で、英語などの外国語を身につけることが昇進・昇格のために必要です。そこで書店の語学関係(もちろん英語がトップですが)に人が集まるということになります。 日本はといいますと、日本経済は現状維持、右下がり傾向です。中国のように、書店で長蛇の列ができ、活気に溢れている、というわけにはいきません。かつての上昇志向でなく、安定志向を求める人たちが増えています。 また時代はデジタルからアナログへ。新しいメディアの誕生、情報チャンネルの多様化、情報流通の高速化などの状況を考えますと、本から情報を得ること自体低下しています。 邱さんの法則のように、本屋さんの賑わいは経済の成長と比例するとすれば、日本経済が右上がりに成長していかないと、本屋さんの賑わいは戻ってこないのでしょうか。日本は成熟期(衰退期か)の中で、まだしばらく新しい書店への試行錯誤が続くと思われます。
by h_osd
| 2004-12-21 07:21
| 書店・出版社
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