「
新聞・TVで話題の本」より、今週の「週刊誌書評」の中から気になった本を紹介します。
〔週刊現代書評 12月4日〕
『住まいと家族をめぐる物語 男の家、女の家、性別のない部屋』
(西川祐子著 集英社新書 税込価格 735円)
最近の住まいに関しての本、松山巌さんの『住み家殺人事件』(みすず書房)や渡辺 武信さんの『住まい方の演出―私の場を支える仕掛けと小道具』(中公新書)など多数出版されています。
その中でも、この新書は男と女と中性の視点から家を考えると内容です。そこで思い出すのは建築家の宮脇檀(みやわき まゆみ)さんの『男と女の家』(新潮社)です。家を男女の視点からみたものですが、それが今回の西川祐子さんの新書では性別のない部屋が加わっています。この点も含め、関心のある一冊です。
著者、
西川祐子さんは現在、京都文教大学人間学部教授。専攻は日本およびフランスの近現代文学、ジェンダー研究をしているそうです。それがなぜ住まいにといいますと、「方法論の基本はテクスト分析で、小説も読めば広告も読んでしまうし、そのうち建築の設計図も読むようになった」そうです。
また、ネット検索から「ライフスタイルと住まい」が企画する「ライフスタイルを見る視点」というシリーズ企画で、「
男の家→女の家→性別のない部屋→次世代的な部屋の集まり方」を講演しています。この新書のダイジェストか。読み応えあり。
<もはやかつてあったような共同体や『公的』な世界は消えつつある。しかし建築を通じ、建築を考え、建築がつくりだす環境を考えることによって、共同体と呼ぶこともない新たな多彩な声のつながりを生み出せるのではないだろうか。>
(松山巌著『住み家殺人事件』より)