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2004年 07月 31日
加藤秀俊さんが京大 人文科学研究所の助手になったころに、鶴見さんの研究室を訪れたそうです。その研究室には靴の箱がいくつも並べられ、その中にカードが乱雑に詰め込まれていたそうです。
ご承知の通り、鶴見さんも博覧強記の評論家です。加藤さんが会った当時に「屋根裏の哲学者」だそうです。そうした鶴見さんがどう感じ、考え、書くのか。加藤さんは鶴見さんの方法についてB6判のカード方式のことを書いています。 <それらのカードには、青鉛筆と赤鉛筆でなにかが書きこまれていた。鶴見さんの字は、じぶんだけがわかればよい、という、一種の略記号のようなもので、わたしには部分的にしか判読できなかったが、これらのカードが素材になって、鶴見さんの思索が展開してゆくらしいことはよくわかった。> このことは加藤さんの『わが師わが友 -ある同時代史』(中央公論社、1982年)の中の、「鶴見俊輔さんのカード」という文章に書かれています。 このB6判のカード方式が鶴見さんの「知的生産の技術」です。今も続いていたら、膨大なカード枚数になっているでしょう。そして、これが鶴見さんの著作の水源なのかもしれません。 また、1969年梅棹忠夫さんの『知的生産の技術』が発行され、ブームとなりましたが、意外と京大式カード(B6)の原型はこの鶴見さんのカードかもしれません。 加藤さんは東京商科大学(現一橋大学)を1953年に卒業してから京都大学人文科学研究所の助手になったので、鶴見さんと出会いはおそらく1953年以降の早い時期であろうと推測されます。 私も鶴見さんの広範囲な視野と柔らかな思考からいろいろなことを教えてもらいました。鶴見さんは著作名にもありますが、「不定形の思想」、その思考と実践を行った人だと思っています。 〔追記〕 鶴見俊輔さんについては原田達さんのサイトの 「For 鶴見俊輔」 をご覧下さい。
by h_osd
| 2004-07-31 23:12
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