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2005年 07月 12日
まさにこの言葉通り、古本屋さんでは遠慮なく、書棚を漁れということです。初めは不慣れで、気後れしてしまうのが一般的です。それでも古本屋さんに慣れてくると、なんとなく古本を選別する力がついてきます。
古本屋さんの書棚はそれぞれに特徴があります。あまりわさわさしていると店主に睨まれること、しばしば。本のことを聞くと、詳しすぎるくらい話をしてくれたり。そんな時の店主の愉しそうな顔を思い出します。 本を見るときも、出した本は出したところに戻す。古本は丁寧に扱い、カバーも帯も栞も破らないように注意をすること。あまり周りをきょろきょろ見渡さないことなどなど。いろいろな鉄則みたいなものがあります。 だから、古本を丁寧に扱うことを前提に、遠慮なく、書棚を漁れ! 意外と古本屋さんも忘れている本が出てきたり、まだ値づけ前の本が出てきたり、かというと、なるほどと思わせる値づけがあったり、まさに何が出てくるか。興味津々、本の海。 そして、その海辺で愉快な本、面白い本、素敵な本を見つけたら、紹介したくなるのが人情です。ほんとに過去の本の中から、新しい本の誕生を待ち望むのでなく、古くて新しい本を発掘をしていきたいと思います。 例えば、あの独特な古本の香りがする書店で、まさに書棚二段の後ろに、ふと目にとまった文庫がありました。書棚からこうした本を探し出すと、何となく心が弾みます。 『写真・文学散歩-本の中にある風景-』 (大竹新助著 社会思想研究会出版部 昭和32年10月31日初版3刷発行) 志賀直哉さんが「序」を書いています。 <明治、大正、昭和三代にわたる文学作品の中から著者が秀作と思ったもの、六七十篇を選び、それに出て来る景色の写真を撮り、短い解説と感想を附けたのがこの本の内容である。>(志賀直哉) ちょうど時代は昭和30年代。まだまだ日本は豊かでない時代です。このカメラで取り切られた風景はその時代を適確に表現しています。これもかつての日本であったということを認識するには十分過ぎるのです。 こういう文庫もただ見ていただけでは発見できません。やはり古本屋さんの書棚を漁る意欲を、あるいはひょっとして起こられる勇気も必要となります。でもいいのです。こうしたえっ、という本と出会えるならば。
by h_osd
| 2005-07-12 00:38
| 書店・出版社
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