『面白半分の作家たち』(佐藤喜尚 集英社新書)のなかに、開高健さんにかかわる興味深いエピソードがありました。前々から開高さんと女性との関係はいろいろ語られてきました。が、この話は特別のようです。
その女性は高恵美子さん。開高さんの娘道子さんのバイオリンの教師をしていた、文筆家志望の知的な美人だったといいます。この人の書いた、開高さんの追悼文が物議をかもすことになります。
その高さんの追悼文には開高さんが高さんに出した恋文ともとれる私信も含まれていたといいます。部分削除をいう著者佐藤さんと泣きながら抗議する高さん。電話でのやりとりが二時間半にも及んだそうです。結果掲載されず。
そして、開高さんが1989年に亡くなりますが、それから一年後の開高さんの命日に自死を遂げることになります。なぜ、高恵美子さんが1年後に死んだのか。その真実は明らかにされていません。そして、この追悼文の真実も。
少々うがった見方かもしれませんが、開高さんにとって、高恵美子さんは大きな存在だったのではという気がしますが、どうでしょう。