日経新聞3月20日朝刊「遅咲きのひと」で、今回取り上げられているのが舞台美術の朝倉摂さん。
まずアイデアのひねり出し方。まず戯曲をじっくり読むという基本のきの徹底です。それから日常的にも仕込みを忘れず、散歩中に見る家庭のゴミ、工事現場の資材、コップに浮かぶ氷の輝きなどなど、すべてがアイデアの宝庫とみるのだそうです。
そして、「日本の演劇は貧しいから」と嘆きつつ、六十を過ぎてから、八三年に五十五本、八十になった2002年には二十六本もの作品をこなしています。その守備範囲も映画の衣装から舞台の美術まで、かなり幅広い。今年も二〇本近い仕事をこなします。
<貫いているのは権威への抵抗。既成概念にとらわれない革新的な姿勢だ。特定の師にも付かずに舞台美術の先頭を、息切れもせずに前へ前へ走り続ける。見事な生き方だ。>
今年八十二歳。まだまだ現役、まっしぐら。その原動力は未知への好奇心と新しいことへの挑戦です。