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植草甚一、J・J とは で、J・J とはどういう略なのかを書きました。なんと今回、J・J の異説を発見しました。
編集部によれば、<「甚一」の J だと聞いております。ひとつじゃ語呂がいまいちなので、重ねて J・J、ということのようです。>でしたが、これがどうやらあやしい?
長田弘さんが『小道の収集』で、こう書いています。
<植草甚一は楽しむ術について、倦むことなく語りつづけた人だった。日常を楽しみ、本を楽しみ、街を楽しみ、無駄を楽しんだ人だ(一九〇八~一九七九)。ペイパーバック四十一巻におよぶ『植草甚一スクラップ・ブック』として、植草甚一の遺していった雑多な切り抜き帳は、そうしたみずから楽しむ術に生きた植草甚一という風変わりな個性の、まさにJ・Jという愛称にふさわしいJust Jinichiというほかないような本だった。>(p87)
これは同書「Now and Then」から引用ですが、この文章からすると、J・J = Just Jinichiということになります。長田さんも晶文社と深い関わりのある詩人・作家ですから、間違いはないとは思うのですが。
この J・J 異説、言われてみれば、なんとなく、こちらの方が本当らしい。
さて。