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2004年 10月 19日
最近の本で気になっているのが、立花隆さんの『シベリア鎮魂歌-香月泰男の世界』です。それは本の内容というよりも、なぜいま香月泰男さんなのかということ。
政治から文化まで最先端を走りぬいてきた立花さんが、今回取り上げたのが、「シベリア・シリーズ」の本当に暗い黒を描いた画家香月泰男さん。それも10年の構想を経て、書き上げたそうです。 そのなぜの答が見つからないまま、たまたま手にとったのが向井敏さんの『晴ときどき嵐』<本のなかの航海記1981-1984>でした。 これを読んでいる中で、この一文を見つけ、なるほど!と納得しました。立花さんがなぜ香月泰男さんを取り上げて、この本を書いたかがわかった気がしました。 立花さんが『宇宙からの帰還』を書いたあと、「文芸春秋」での司馬遼太郎さんとの対談「宇宙飛行士と空海」(昭和58年10月号)でこう話しています。 <ぼくはもともとそういう方面が好きなんです。田中角栄なんていうのは、なりゆきでやっているだけで本質的に関心があるわけではない。ぼくの育った家庭が、両親ともに無教会派のクリスチャンだったもので、子供のときから、神だの人間存在だのということを考えながら育ってきた。ぼくは幾つになっても哲学青年みたいなところがあって、哲学の永遠のテーマであるこの世界の存在や人間存在にかかわるいくつかの根本命題からいまだに逃れきれていないところがある。> まさにいままで気になっていたことが氷解したといいますか。こうしたことが、やはり、あるものです。ひとり得心した夜でした。
by h_osd
| 2004-10-19 01:40
| 単行本
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