土曜日は新聞整理日。新聞クリップの中から、ひとつ。9月5日付朝日新聞「穂村弘さん(歌人)のポケットから」より。
同新聞の日曜版には各筆者による「ポケットから」が掲載されます。これは読書欄とともに必読です。今回は穂村弘さんがびっくりの3冊を取り上げています。
佐賀純一著『浅草博徒一代』(新潮文庫・620円)
濡木痴夢男著『「奇譚クラブ」の絵師たち』(河出文庫・725円)
小林信彦著『回想の江戸川乱歩』(光文社文庫・540円)
<彼らの生の時間は濃い。これらの本には、引っ越しを四十六回したり、指を簡単に落としたり、女を四千人縛ったりする人間が登場する。
「あの頃はね、人間の世界はここで行き止まり、というところがあったもんです」という老博徒の言葉にどきっとする。>
著者だけでなく、久しぶりに、ちょっと困ったという思いです。
この「困った」には周辺外で生きてきた人たちの迫力に対しての驚きと老博徒の「人間の世界はここで行き止まり」という言葉に対しての驚きが混在しています。
本来ですと、一種の閉塞状況の中で、人は限りなく濃い時間を生きられる可能性があるのですが、・・・・・ 。
・・・・・ 時間が限りなく薄く ・・・・・ 老博徒の「人間」もどこにいるのか ・・・・・ そんな時代 ・・・・・ こんな思い ・・・・・ そして「困った」 ・・・・・ 。
今 、私は『回想の江戸川乱歩』を読み始めています。